2010年09月20日

清水家の人々と加害者側の戦いのこと

西浜中学校に通う2年生の清水竜介(しみず りゅうすけ)は、勉強も運動も苦手だが真面目で心優しい少年で、両親と弟と妹の5人で、それなりに幸せに暮らしていた。
 だが、この中学校は、殆どの教師達が「事なかれ主義者」で生徒の値打ちを成績の良さ等で決め、竜介の様に出来の悪い者は冷遇されていた。だが不良である生徒達は別で、奴らを恐れ何も言えずにいた。その、うっぷんは竜介の様な生徒に集中し、又、純粋過ぎる彼は不良達から目の仇にされ苛めの標的となっていたが、それでも、父の竜也(たつや)の「逃げては駄目だ!」と言う言葉を守り、真面目に学校に通い続けていた。
 そんな、ある日、彼はクラスの中で唯一、仲の良い田中伯典(たなか はくのり)に学校の近くにある裏山に呼び出される。竜介は事情を聞くが、田中は「今は、どうしても離せない」と言うだけだった。
 竜介が裏山に行くと、催情剤そこに仕掛けられていた落とし穴に落ち、3年生の高野広樹(たかの ひろき)をリーダーとする校内の上級生や同級生の他、下級生までを加えた不良達に囲まれ、蹴る・殴るの暴行を加えられる等の苛めを受ける。田中は、自らの安全の為、竜介を裏切り不良達に加担したのだ。
 高野は言う「てめえ、俺の妹の美佐子(みさこ)が煙草に手を出した事を先公にチクってくれたそうじゃねえか!」奴らは竜介の言葉に聞く耳を持たず暴行を加え続け「この事をチクったら、どうなるか分かっているだろうな!」と言う言葉を残し唾を掛けて去って行った。
 その後、田中に「絶交宣言」をし、怪我をして帰宅した竜介は、家族に何も言えず泣く事しか出来なかった。
 翌日も、いつもの様に登校した竜介だが、田中と絶交した事を「清水は一度でも喧嘩をした奴を許さない酷い奴」と言うデマが流され、彼への苛めは更に悪化していく。屋上にいた竜介は「いっその事、死んでしまおうか」と考えるが、そこに不良グループ達が現れ冗談のつもりで竜介を突き落とす真似をしている内に、はずみで彼を転落死させてしまった。その様子を担任である谷口重樹(たにぐち しげき)達、一部の教師が見ていたが、これを竜介の自殺として処理する。

 竜介の葬儀にも通夜にも、不良や、その家族達は姿を見せず、両親は、学校側に抗議に行くが、谷口をはじめとする教師達は「あの子達には将来があります、たった一度の過ちで一生の人生を台無しにしても良いのですか!」「お宅の息子さんにも苛められても仕方が無い理由が、あった筈です」等と言って、開き直り、TV局に対しPTAから有害と言われている番組をターゲットに、事件の責任を押し付け様とする等の、呆れた行動を取る。更に清水家には「清水家の連中は、一度、過ちを犯した者を許そうとしない酷い奴らだ」と言った内容の手紙や電話が殺到する。加害者側が、逆恨みで仕組んだ嫌がらせであり、妻の早苗(さなえ)は嫌がらせを受け、小学生の弟の数男(かずお)と妹の若菜(わかな)も学校で苛められ、一家は別の場所に引っ越す事を考える。
 だが、そんな、ある日、竜也は妻と子供達に、こう言った。「お前達は、どこか安全な場所に引っ越しなさい、だが、私は奴らと戦う。死んだ竜介の為に、二度と、この様な悲劇を出さない為に、あの人間の皮を被った悪魔達を許す訳にはいかない!」その言葉を聞いた家族達の気持は1つになった。「私も戦います。竜介や子供達の為に」「僕も戦う」「私だって」その後、家族は皆、涙を流しながら抱き合った。
 こうして、苛めによる犯罪の被害者遺族である清水家の人々の、人間の姿をした悪魔達に対する、辛く苦しい戦いが始まったのだ。
竜介が死んで、しばらくしてから清水家も、少しずつ落ち着きを取り戻していた。
 ある日の晩、主人である竜也は、亡き息子との思い出を元にした小説を書いていた。息子の死を無駄にせず、今後、この様な悲劇が起きない様にする為である。執筆中に「私は、あの悪魔達を絶対に、許さない!」と言う主人に妻の早苗は昼間の出来事を話す。
「私、今日、街で谷口先生・・・いや、谷口と出会ったんです!」

 早苗の言葉によると、彼女は街で谷口に「清水君の、お母さん、お話だけでも聞いて頂けないでしょうか?」と丁寧な口調で呼び止められ、早苗も「ちょうど、私も先生と、お話がしたかったんです!」と答え、2人は近くの喫茶店で話をした。谷口は「清水君の事は本当に、申し訳無いと思っています。ですが私も長年、持病の腰痛に悩まされ、あの不良達を、どうする事も出来ませんでした!」と言った。持病の腰痛は事実だが、その後、早苗は冷めた口調で、鞄の中から数冊のノートを取り出し、こう言った「そんな、見え透いた言い訳が通用すると思っているんですか、これは、あの子、竜介が学校で起った出来事を書き貯めたノートです!」と言ってノートを開いて中身を見せた。
「貴方は、何かがあると、すぐに、あの子のせいにしていたそうですね」と早苗が言うと、谷口は開き直り「それは清水・・・いや、清水君にも問題があったからですよ、それに苛められても何も言わなかったし・・・」と言うと、早苗は「じゃあ、あの子が言えば、何とかしてくれたんですか!」と、今まで以上に、きつい口調で攻め「自分の分は自分で払ってください1」と言って喫茶店を後にした。

 話は再び、その日の晩に戻り、残された2人の子供である数男と若菜は、兄が死んだ原因を学校側がTV番組に責任を、押し付けた為、大好きだったアニメやバラエティ番組が、規制されたり、打ち切りにされたりして、退屈な思いをしていた。「見る物なんて、何もないや」と気分転換に外に出た2人は、庭で怪しい人影を見る、それは兄を裏切った田中で、過去に、この家に来た事がある為、場所を知っているのだ。数男と若菜は逃げ出そうとする田中に飛びつき押さえ付ける。田中は若菜を投げ飛ばし怪我をさせたまま数男も投げ飛ばして逃げ出そうとするが、そこに竜也と早苗も現れた為、捕まってしまう。奴は清水家の壁に盗聴器を取り付けていたのだ。
 その事に対して、田中は「ごめんなさい、僕、そうでもしないと皆に苛められるから・・・」と言い訳をするが、早苗は泣く若菜を抱きしめながら「だからと言って、こんな事をして良いの!」と言って攻め、竜也も「君の様な裏切り者の顔は、もう見たくない、2度と、ここには来るな!」と言って攻め、それでも言い訳で、誤魔化そうとする奴に「出ていけ〜!」と激しく怒鳴り、逃げ出す田中に数男は「兄ちゃんと若菜の仇だ〜!」と言って、強い蹴りを入れ石を投げてぶつけた。泣きながら家路に向かう田中は、昼間の出来事が原因で「あんの、クソババァ、俺が教師でなければ殴ってやったのに!」と喚きながらヤケ酒を飲んでフラフラと歩いている谷口を見掛けた。帰宅した谷口は、その事を咎める家族達に八つ当たりをし、田中は唯一の肉親である母親に清水家で起きた出来事を話し、奴の母は、その事で清水家を逆恨みし始めていた。

 翌日、昼休みに学校の屋上に集まっていた高野達、不良グループ達は口を揃えて、こう言う。「あれは、俺達が悪いんじゃねえ、清水の野郎が勝手に落ちやがったんだからな!」そこで2年生の高橋耕(たかはし こう)は「でも、奴が死んで苛める相手が、いなくなったのは失敗でしたね」と言うと、高野とは家が近所同士で腰巾着的存在の、1年生の浜崎信一(はまざき しんいち)が、こう言った「だったら、清水の所の親父やババアやガキ共を苛め抜いてやれば、良いじゃないですか!」と言う、それを聞いた高野は「信一、お前、なかなか良い事言うじゃないか!」と言い、その後、一同は大笑いしていた。実は、浜崎の提案は田中が考えた物だが、奴が小心者である事を良い事に、自分の手柄にしてしまったのだ。

 午後の授業が、始まる時、田中の母が息子が清水家で受けた仕打ちを告げ口する為、学校にやって来た、しかし、前の日の晩の失態を、クラスの中で出来の悪い田中に見られていた谷口は妻と喧嘩中で機嫌を悪くしていた事もあり、八つ当たりも兼ねて授業の問題が解けない田中を激しく攻めビンタを加えた。これは奴が、今まで竜介にしてきた事と同じ行為である。その光景を目撃した田中の母は、ショックの余り自分が何をしに来たのかも忘れ、谷口を攻めるが、校長や教頭に、その事を伝えるが、全て息子が悪いと言う事にされ、悔しい気持ちで学校を後にする。

 そんな悪魔達に報いの仕打ちのカウントダウンが始まった事を奴らは、まだ知らなかった。
清水家は、皆で力を合わせ主で父である竜也の小説の執筆活動に協力していく、HP=ホームページを作り宣伝活動を行ったりしている内に、励ましのメッセージも届いたりしたが、相変わらず加害者側や、それを支援する心無い人物達の嫌がらせは続き、パソコンもハッカーが流したウィルスによって汚染されてしまう。しかし、それでも挫けず、学校で苛められていた数男や若菜も、2人で協力して年上の田中に飛び掛かった経験が切っ掛けになって強く成長した。
 
 それとは逆に田中は校内で「小学生に泣かされた奴」と言う噂が流れ、周囲から嫌がらせを受ける様になり、盗聴器を清水家に仕掛ける事を失敗した事で、高野をリーダーとする不良グループの新たなる苛めの標的にされた。FLY D5一方、あの日以来、谷口は酒の量が増え二日酔いで休む事が増えた他、家族との仲も険悪になった他、他の教師や生徒達から軽蔑され始めた。谷口の家を訪ねた田中の母は、以前の事は水に流す条件で結託して清水家に(逆恨みによる)報復を行う事を持ちかける。表向きは承諾した両者だが、内心では互いに軽蔑し合っていた。
 田中の母は帰宅すると、本来なら家にいる筈の息子がいない事に驚くが、その後、警察からの電話で、更に驚くべき事を聞かされた、学校では苛めに遭い毎晩、夢の中に出てくる竜介の姿に悩まされた結果、屋上から飛び降り自殺をしたのだ。田中の母は、それを清水家の責任にしようと考え、清水家にやってくるが、今までの行動が仇となり「これは自業自得だ!」と一喝され門前払いされる。田中の母は、その後、激しい雨に打たれながらボー然とした状態で街を徘徊している内に、信号の色が変わっている事に気付かず道路に出た時、暴走族の運転するバイクに跳ねられ即死してしまう。

 その事を知った不良達は「あんな馬鹿の命なんて屑同然」「まあいい、苛める相手なんて代わりが、いくらでもいるさ!」と冷笑するだけだった。加害者側は「きっと清水家の連中が呪ったんだ!」と言い掛かりを付け、これによって、完成し出版の話が来ていた竜也の小説の出版も取り消しにされてしまった。

 そんな、ある日、高野と浜崎が2人揃って帰宅すると、それぞれの自宅では残酷な出来事が待ち構えていた。
 高野の家では母親が倒れ、すぐに救急車で病院に運ばれたが、すぐに死亡してしまう。一方、浜崎の家では両親が離婚寸前で、父親は浮気相手との喧嘩が原因で刺殺されたと言うのだ。その事が切っ掛けで、他の不良達も次第に「自分達も、いつ、どんな目に遭わされるか分からない・・・」と怯え始めた。

 一方、酒の量が増えた谷口は大量の酒を飲んで帰宅している時に、チンピラに絡まれ暴行を受けるが、妻からは「自業自得」と言われ子供達からも軽蔑の目で見られる様になった。「大事な会議が、ある日に休んだら増々、校内での評判を落とす!」と二日酔いの状態が残っている状態で、いつもの様に車で出勤する。近く飲み屋なら、一時、帰宅した後、歩いて行けるが、学校は遠いので、そうはいかない。しかも、昨晩の出来事と今朝、持病の腰痛が原因で階段で足を滑らせた事による怒りの感情が残っている為、心は荒れ誤って子供を跳ねて即死させてしまい、その場から逃げだそうとするが、逮捕されてしまった。谷口が死なせたのは加害者側に加担していた心無い人間の家族で、谷口の妻子を「犯罪者の家族!」と言って激しく攻める。

 そんな、ある日、街中のあらゆる家のパソコンが、ハッカーの流したウィルスに汚染され、今回の竜介の死は自殺でなく他殺であった事の他、犯人である不良少年と、その家族の素顔と実名が公表されてしまった。
 清水家のパソコンは、それ以前にウィルスに汚染され使い物にならなくなっていた為、疑われるのは免れたが、正体不明のハッカーは専用のパソコンの前で、こう呟く「お前らの様な悪魔に恨みを持つ奴なんて、この世に、いくらでもいるんだよ」

 追い詰められ逃げ場を失った加害者側の中には、詫びを入れ誤りに来た者もいたが、それでも、今までの行動が仇となって許される事は無かった。
 加害者を支援する心無い者は、清水家の人間を、その事で攻めるが、これに対し竜也は、こう答えた「私達も、彼らが、すぐに罪を認め詫びを入れていれば許していた、しかし、彼ら・・・いや、奴らは息子を殺した事に対して罪悪感を感じず、逆に逆恨みの行為までした、そんな屑以下の奴らを許す訳にはいかない!」
不良達は家族共々、素顔と実名を公表されるという予想外の展開に怯える日々を送っていた。
 リーダーである高野広樹は母を失い、不良になっても薬物に手を出し近所から、変人扱いされる様に、なっていた。広樹の兄・純一郎(じゅんいちろう)は昔はワルだったが、今は更生して父親の会社で働いている。しかし、父親共々、世間から白い目で見られる様になり、弟を殴り「出ていけ〜!」と怒鳴る。父親に勘当された広樹は街を徘徊している時に、1人の少年に呼び止められる。「俺は少年院を出た後、真面目に更生して働くつもりだった、だが貴様らのせいで世間から冷たい目で見られ・・・」少年は広樹を刺し殺し逃亡してしまう。
 そして、薬の為に頭がおかしくなった美佐子は近くのアパートに住む浜崎家に放火した後、自宅にも放火する。父はヤケ酒の飲み過ぎで体が思う様に動かず逃げ遅れ、娘共々、焼け死んでしまい、2人と別に暮らしている純一郎は、その光景をボー然と見る事しか出来ず、浜崎家の中では信一だけが助かったが、大きな火傷によって不自由な体となってしまう。
 高橋は、両親が弟を道連れに自殺したショックで頭が、おかしくなり街を徘徊して人を刺してしまう。だが、それは皮肉にも自分達加害者を支援していた人物であった。

 一方、谷口の妻子は周囲から冷たくされた為、住み慣れた街と家を出ていき、牢獄の谷口は毎晩、夢の中に現れる竜介に悩まされる、他の受刑者達から苛めを受ける日々を送っていた。

 そして清水家はパソコンが直った事で、再びHPを開き、多くの人から励ましのメッセージを受け取った。竜也が書いた小説も本として発行される事になった。
 しかし、加害者の遺族や、それを支援していた心無い人間達は、それを「差別」だと言って言い掛かりを付け出版刺し止めを訴えたが、清水家の人間達は折れず、その心意気に感動した編集部員達の励ましもあり、本の発行は刺し止めになり、本はヒットした。

 それでも加害者の遺族や心無い者達の苛めは続く、事態を重く見た竜也は、こういった「私は、戦い続ける為に、ここに残るが、お前達は、やっぱり安全な場所に引っ越してくれ、ここの中学は、あの西浜中しかない、そうなれば数男や若菜は・・・」と言うと、早苗は「私は貴方の妻、例え、周りを全て敵に回しても貴方についていきます!」そして数男と若菜は、こう答えた「お父さん、いつも兄ちゃんに言ってたじゃないか、逃げちゃ駄目だって!」「私達は家族でしょう。だから、一緒に戦うのが当然じゃない!」
 それを聞いた竜也は涙を流しながら、蒼蝿水こう言った「よし!分かった、お前達が、そこまで言うのなら、私は、もう二度と、さっきの様な事は言わない事を約束する、例え世界中のすべてを敵に回してでも、家族全員で力を合わせて戦っていこう!」その言葉に、家族全員が笑顔で、うなづいた。

 こうして、清水家の人々と加害者側の戦いは、この後も続く事となり、加害者側は様々な卑劣な手段を使って清水家の人々を苦しめる事になる、しかし清水家の人々は、この人の皮を被った悪魔達に屈する事は無い。
posted by 久留巳 at 18:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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